Ⅱ. 障害者施設の置かれた状況

| 目次 |Ⅰ. CSRに対する基本的考え |Ⅱ. 障害者施設の置かれた状況 |Ⅲ 企業と施設の関係 |Ⅳ. 具体的展開 |Ⅴ. 最後に |

1. 概要

従来施設の大半は人目を避け、人里はなれた場所にあり、ややもすると社会から離れた状況にあることが多くありました。社会の一員とはいえ、諸般の事情から施設は得てして孤立しがちでした。「健常者と障害者が共にいることがノーマルなことである」という考えのもと、現在施設が市街地に設置されることも多くなってきました。それによって福祉関係者と地域住民、社会との関わりが発生し、双方が本格的に社会のあり方を考える時代に入ってまいりました。
また特に障害者自立支援法が施行されてからは自助努力による運営が求められ、その重要性が増してきました。従来の補助金・寄付金依存体質では、なり行かない状況になり、自助努力するための運営面の強化が必要となってきました。


2. 障害者自立支援法の概要

障害者自立支援法の施行に伴い4法が統合されました。概略は次表の通りです。現在内容の見直しが行われており流動的な面もありますが’11年の新体系移行を目指し準備に入っています。

1) 障害者自立支援法のポイント

  1. 障害の種別(身体障害・知的障害・精神障害)にかかわらず、障害のある人々が必要とするサービスを利用できるよう、サービスを利用するための仕組みを一元化し、施設・事業を再編

  2. 障害のある人々に、身近な市町村が責任をもって一元的にサービスを提供

  3. サービスを利用する人々もサービスの利用量と所得に応じた負担を行うとともに、国と地方自治体が責任をもって費用負担を行うことをルール化して財源を確保し、必要なサービスを計画的に充実

  4. 就労支援を抜本的に強化

  5. 支給決定の仕組みを透明化、明確化

(厚生労働省/全国社会福祉協議会のHP「障害者自立支援法の円滑な施行に向けて」より抜粋)


2) 概念図(出展:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部)

1.対象人数及び予算

2.現行及び見直し後の内容

詳細は次のHPをご参照ください
厚生労働省(←リンク先 www.mhlw.go.jp/topics/2005/02/tp0214-1.html)
厚生労働省/全国社会福祉協議会(←リンク先 www.shakyo.or.jp/pamphlet.html)


3. 障害者施設の課題

1) 制度上(特に費用)の問題点(07年現在)

施設の立場から見ると従来は国からの支援費、補助金を如何に旨く獲得するかが腕の見せ所でした。現在でも不足分は官庁に補助金を支給してもらう、悪く言えば「お上に施しを願う」考え、方法は変わっておりません。
ご承知の通り国家財政も困窮な状況にあり、福祉予算も削減の方向にあります。従来の施設は親方日の丸的運営で、予算は100%消化が前提であり、運営努力で費用を削減し予算が余れば、翌年の予算が削減される構図になっています。大分改善されてきましたが改善途上にあり、まだ十分な状態ではありません。
しかし現在、障害者自立支援法の施行に伴い、福祉施設の予想以上の予算の削減により経営面を圧迫し厳しい状況にあります。将来を見据えどうするか思案のしどころです。

2) 施設が自助努力する為の課題

その一例で従来からも行われてきた障害者の作った商品・サービスの販売・提供があります。それをバザー等で販売しているうちは問題もありませんでした。しかし外販するとなると市場において厳しい競争にさらされ、太刀打ちできず、頓挫してしまいました。これは、障害者のレベルを基準に置いているところから、商品・サービスのお客様満足度(CS)が低く、消費者が義理に購入することがあっても、リピーターにならず販売不振になったことです。当然の成り行きでした。そのため購入者は障害者の関係者のコミュニティーの範囲を越えず、一般社会、地域から孤立した活動になっていました。その結果ジリ貧状態で一部を除いて、休業に近い状態になっていました。
一般企業は言うまでもなく・障害者施設においても同様、お客様満足度(CS)の高い商品・サービスを提供できるか否かが鍵であり、長続きの基本であると考えています。

3) 職員の過酷な「感情労働」の課題

CSRと次元が若干異なりますが、朝日新聞の天声人語(’07年6月12日)でも指摘されたように「いちゃもん化社会」「モンスター親」等の関連で最近「肉体労働」「頭脳労働」とは別に「感情労働」という言い方がされています。福祉の現場で働く職員の仕事はまさに 「感情労働」の典型であり、喜びがある一方できびしい自制心が求められる仕事です。

  1. 過酷な「感情労働」条件の下、希望を持ち、やる気のある職員が精神的に疲弊し労働意欲が減退しつつあるということが最近問題化。
  2. また厳しい労働に対して、低賃金であることなどにより、退職者が増化し、人材を集め難いこと。が問題化しています。早急な改善が望まれます。

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